アドレスウォレット、こだわりの秘密。

アドレスウォレット、こだわりの秘密。

公開日:2021/9/10

 

こだわりの、アドレスウォレット

重厚感のあるデザインが人気の二つ折り財布「アドレスウォレット」に、ショートタイプが登場しました。従来の形を引き継ぎながらも、コンパクトなサイズ感ならではの良さを合わせ持った二つ折り仕様の財布です。

 

▲ 左:アドレスウォレット・ショート / 右:アドレスウォレット

 

アドレスウォレットを、半分にした程度の大きさ。大きいサイズをそのままの形で小型化するのではなく、革の厚み、重ねの厚みを変えて、使いやすさを追求したデザインに仕上げています。女性の片手にも収まるコンパクトなボリューム感。

 

 

使いやすさの工夫

ポイントは、お札入れについているカード収納スペース。

内装のカードスロットとは別に、お札スペース右端にカードを収納できるスペースがついています。使用頻度の高いカードをここに収納しておけば、ベルトを開かずともカードを取り出すことができます。この、ちょっとした工夫が使い心地の良さに繋がっています。

 

 

使うたびに味わえる、遊び心を感じる内装の配色も魅力的。
matte grayの内装は、深い臙脂色の牛革と鮮やかな緑のピッグレザー。matte blackは、黒の牛革とブラウンのピッグレザーの組み合わせ。RENのアイテムとしてはめずらしい、外装と内装のコントラストが印象的です。

 

この配色は、使う人への粋な計らいとしてRENがこだわったポイントでもあります。

 

 

BUBBLE CALFとは

外装に使用している「牛革・BUBBLE CALF / バブルカーフ」は、フランスの名門タンナー『デュプイ社』によって鞣されているシュリンクカーフ。フランスを中心としたヨーロッパ産の仔牛の原皮から、厳選された上質な原皮のみを使用しています。不均一で味わい深いシボ、しっとりとソフトな質感。

 

型押しの革ではないからこその、自然な風合いとふっくらとした質感が楽しめます。同じバブルカーフをつかっていても、そのシボの表情は様々。ごつごつとしたものもあれば、フラットなものもある。

その違いこそ、天然皮革の面白さです。

 

▲スタッフ愛用のアドレスウォレット(m.black) / 2年ほど使用

 

そして、この素材の魅力は、緩やかに変化していくエイジングにあります。

徐々に増していく艶と、バブルカーフ特有のシボ感を残したまま変化していきます。自然に、ゆっくりと使い込んだ格好の良さ。この緩やかな変化は、RENが扱う革のなかでも唯一無二の変化かもしれません。

 

 

バブルカーフでは現在、全5型のアイテムを展開しています。手帳型の長財布「アドレスウォレット」、手のひらサイズの「ミニウォレット」、スリムな長財布「フラットロングウォレット」そして、新型の「アドレスウォレット・ショート」と「カードケース」。

▶︎ バブルカーフの商品一覧はこちら

 

 

ものづくりの現場へ

RENのアドレスウォレットの縫製は、蔵前にお店を構えるレザーアイテムブランド『LITSTA(リティスタ)』のデザイナー、木村由香里さんの手で仕立てられています。蔵前という街ならではの、繋がりから生まれた財布。

 

 

木村さんは、専門学校でテラーリングを専攻したのちアパレル会社に勤務しながら鞄の手縫い技術を独学で習得。そして、当時の同僚であった佐藤祐樹さんと共に立ち上げたのが、レザーアイテムブランド『LITSTA』でした。『LITSTA』は “Life Is The Stage To Act.” (人生は演劇の舞台である)の頭文字。

 

“自分たちのクリエイションで多くの人たちの舞台もより素敵に彩りたい”

そんな思いで、こだわりの詰まった他にはないレザーアイテムを日々作り出しています。

 

 

新しいサイズのアドレスウォレットをお願いするにあたり、その、ものづくりの現場に伺いました。お邪魔したのは、REN蔵前店から歩いて2分ほどの場所にあるLITSTAさんのお店兼、アトリエ。

 

 

要となる、下準備

外装に使用しているバブルカーフは、とてもやわらかい革質。それに比べ、内装の牛革(ブルガノ)は厚みがあり硬い革質です。アドレスウォレットは、やわらかい素材と硬い素材を組み合わせてつくられています。やわらかい素材に、あえて質感の硬い素材を合わせるのは、芯材に頼らない工夫。芯材を使うよりも、より自然にデザインを構築する素材が選ばれています。

 

しかし、質感の異なる素材を一緒に縫製すると、縫いズレが生じやすくなるもの。

そのため、美しい仕上がりには縫製前の下準備が要となります。裁断時にはパターンよりも革を大きく贅沢に裁断しておき、ズレが生じても調整しやすい工夫をしておくこと。あらかじめ糊貼りを行ってから縫製を行うこと。縫いズレを防ぐための工夫が随所に組み込めれています。制作過程のなかでも実は、この下準備が最も時間がかかり、気を遣うポイントであると木村さんは話します。

 

 

こだわりの配色は、革の側面「コバ」にも。グレーにはグレーのコバ、そして深い臙脂色にはそれに合う色を。それぞれをきちんと塗り分けていきます。その分、工程の手数や時間も増えますが、細かなところまで妥協しないこだわり。

 

 

革の厚みを調整するための「漉き」や、内装に焼き込んでいるRENの刻印。その作業も、木村さんの手仕事です。

 

「内側の牛革を漉いたあと、手で触って、必ず厚みを確かめるんです」

 

どの工程にもそれは共通していますが、実際に触って確かめる。その一手間を省くことなく、一枚一枚から感じ取る感覚を確かめながら丁寧につくられていきます。

 

 

14目と、4目

そして、こだわりは、なによりも使い心地の追求。財布は毎日つかうものだから、ストレスを感じることなく、快適に使えるかどうか。そのために、サイズや革の厚みまで緻密に設計されています。

 

そのひとつが、この革のベルト通し。

 

 

アドレスウォレットを開け閉めしてみると、ベルトとベルト通しがぴったりと収まります。きつく閉まりすぎず、緩みを持ちすぎない。そのちょうど良い強弱は、使い心地を追求し設計しているからこそ実現できているもの。

 

 

その秘密は、ミシンの針目にあります。

ベルト通しと本体を縫い合わせる針目の目数を、きっちり揃えること。片辺が14目、両角の針目は4目。この針目を設計図の通りに揃えることによってベルト通しのフィット感、使い心地の良い強弱を再現しています。

 

 

財布などのアイテムは量産体制で生産されることが一般的です。量産体制の場合には、1パーツ1工程を同じ職人さんが担い、同じ作業を繰り返すことで効率化を図っています。そのため、針目の目数までもを統一することは不可能に近いこと。

木村さんが一人の手で一貫して仕上げているからこそ、ここまで徹底的に統一することができる。全工程を一人で仕上げることは量産現場よりも時間がかかりますが、素材の癖や扱いづらさを把握しきれているからこそ、気を配りやすいこともあります。

 

こだわりのベルトの目数も、そのひとつです。

 

 

内側からの設計

「服づくりの設計を経ているからこそ、内側からどう作るのか、そこにこだわりがあるんです。大切にしているのは、手に取る人がどう使うのか。どんな感情で、どんな所作で、そこまで突き詰めて想像して作るのが好きですね」

 

木村さん、そしてLITSTAさんが大切にしているものづくりの信念は、内側から設計をすること。使い心地の良さが欠如してしまうものづくりではない、使い心地の良いものをつくること。

 

たとえば、体に纏う衣服の設計ならば、体の構造や可動域など、デザインをするうえで必ず配慮しなければならない制限があります。衣服の場合、その配慮は着心地の良さにつながります。それに比べて財布や鞄は体に纏うための配慮は必要ありませんが、使うときの所作への配慮のあるものづくりは、そのものの使い心地の良さにつながります。

 

さまざまなものづくりのプロセスを知っているからこその配慮と、こだわり。

 

かつて、衣服をつくっていた木村さんに「布」ではなく「レザー」を扱うことの魅力を伺ってみました。

 

 

———-レザーの面白さとは、どんなことだと思いますか?

「レザーの場合は、素材はすべて生き物たち。その生命感と個体差が魅力ではないでしょうか?生命を感じるからこそ、長く使ってあげようかなとも思います。また、使い古すのではなく、味わいが深くなる変化もいい。そういう感情を使う人と共有することができたら、レザーを使う意味、面白さがあるのかなと思います」

 

木村さんのものづくりに対する姿勢は、素材への敬意をも感じます。

そして何よりも、使う人への気遣いがありました。

 

 

ものづくりの街、蔵前にあるLITSTAとREN。

アドレスウォレットには、それぞれのこだわりと、ものづくりへの思いが詰まっています。蔵前にいらした際には、ぜひ、それぞれのこだわりのアイテムを見にいらしていただけたなら嬉しいです。

 

きっとここにしかない、こだわりのアイテムに出会えると思います。

 

 

 

 

LITSTA

111-0051 東京都台東区蔵前 4-6-9
Sunny Place Annex 1F
TEL 03-5829-4860
OPEN 12:00-19:00 ※最新の営業時間はブランドサイトにてご確認ください。
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